【Messiaen 《Huit Preludes pour piano》(1928-29)の九重奏編曲から室内管弦楽へ編曲拡大】

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メシアンの初期Pf. solo作品《Huit Preludes pour piano》(1928-29)の
オーケストラ編曲を、3月下旬から再開しました。
始めは木管五重奏編曲、もう少し足したくなって九重奏(Nonet)、
そして更に編成を拡大したくなり、最終的には室内管弦楽編成で落ち着きそうです。
しかしこの作品には、流石のメシアン・フリークのわたくしといえども、
この場で語り尽くせないほどの辛い想いが幾つも凝縮されています。

2011年この作品を研究している最中、忘れもしない大地震と津波が
東北地方を襲いました。

この全8曲から成る曲集は、恐らくメシアン19歳の時に結核で亡くなった
メシアンのお母様(詩人セシル・ソヴァージュ)(1883-1927)の葬儀の模様の
描写なのではないかとの見解は、何度も書かせて頂いた通りです。
とりわけそれを思わせるのが、以下の作品です。
「No.2 哀しみの景色の中の恍惚の歌」、
「No.4 死した瞬間」、
「No.6 苦悶の鐘と告別の涙」、
「No.7 静寂の嘆き」、

こうした作品を、2011年3月当時、度々起こる比較的大きな余震の中で
アナリーゼし続ける事は、私にとり大変辛い作業でした。
計画停電にも6-7回遭い、懐中電灯の灯りで作業をした事もありました。

そのうちに我が家は9月に東海地方への引っ越しが決まり、8月からは
真夏の酷暑の中、家財道具を梱包してゆく作業と同時進行で、
この作品を精査する作業を行ってゆくことも、やはり辛いものでした。

そうまでしたというのに、2011年12月18日のこの作品の研究発表の場では、
第三者の割込みによって面白半分に研究内容をめちゃめちゃにされ、
もはや研究発表の体を成してはいなかった。一体、何処に怒りをぶつけたらよいのだろうか。
しかも、研究発表一か月前には身内の肺癌が発覚し、この様な「死を思わせる曲集」を
取り上げる発表をやる事も辛かったし、そうした決死の想いで臨んだ場に
面白半分に割り込み、発表の方向性をとんでもない方向にもっていってしまった某氏には、
未だに怒りを感じています。
その一年後には、同身内は交通事故で救急搬送され、更に9か月後には
家族の看病も虚しく、死を迎えました。

こうした辛い辛い想いと共に歩できた《Messiaen: Preludes pour piano》です。
辛いけれども、もうそろそろこの作品に愉しみを見つけられないだろうか。
忌避せず、もっとこちらから歩み寄ることは可能ではないか?
そう思い、このPf. solo作品をオーケストレーションする事に、愉しみを見出す事に
しました。
お陰様で、この4月はオーケストレーションにのめり込む事が出来たため、
身内に「余命9-10ヶ月」と宣告された2013年8月に、
「来年の桜はもう見られないのか?」と気を揉んだ事も頭から払拭して、
外界の桜に心をかき乱されずに、「様々な思いを抱えた辛い作品」と
和解できたように思います。

もう暫く作品と対話してみようと思います。
メシアンもお母様を亡くされて、さぞお辛かったでしょうし、
今ならその気持ちに寄り添えそうな気がします。

追伸:オリヴィエ・メシアン氏には未だ著作権が残っており、
無許諾で編曲作品を一般上演、或いは出版する事は出来ませんので、
決まり事の中で適切に行うものと誓約致します。

赤坂樹里亜
Le 12 April 2014 12h29

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